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秒速5センチメートル あなたはきっと大丈夫 [秒速5センチメートル]

 秒速5センチメートルと出会ってから、まだ数週間しか経過していないけど、ずっとこのお話を抱えて来たような気がします。

 多くの人が貴樹に、明里に、もしくは水野理紗に、澄田花苗に、もしくは生協で一緒にバイトをした同級生に、もしくは塾のアシスタント仲間に自分をすり合わせているのかもしれません。
 
 もちろん、全く同じ歩みをしてきたって訳ではないでしょうが、なんとなくなぞることが出来るのかもしれません。

 

 気がつけば、参宮橋を連日訪れていました。

 そこにある踏切。

 

 踏切を見ながら、映画を思い浮かべる。

 第一話・桜花抄に登場する小学生当時の遠野貴樹と篠原明里との踏切でのやり取り。

 第三話・秒速5センチメートルに登場する大人になった貴樹と明里と思われる女性との踏切での再会。

 踏切の前で数秒間の間に様々なことを自分なりに考えていました。

 ※秒速5センチメートルの内容のことに触れております。私的意見を述べておりますので、あんたの意見など聞きたくないって人はスルー下さい。

 

 小学校を卒業と当時に離れ離れになった貴樹と明里。
 東京と栃木は小学生にとっては決定的な距離であり、絶望とも思えた。
 貴樹は二人で行くはずだった西中に一人で通い出し、サッカーと友達との時間、勉強に没頭し明里を頭から追い出そうと努めた。

 そんな貴樹に届いた明里からの手紙。
 無理やり打ち消そうとした気持ちは待ちわびていたかのように貴樹の心の前面に出てきた。
 そして文通が始まる。
 
 しかし、今度は貴樹の転校が決まり種子島に行くこととなる。その前にもう一度明里に会いたい。

 貴樹は予期せぬ降雪により、電車の運行が混乱する中、栃木まで明里に会いに行った。
 約束の時間から4時間以上経過していたが、明里は待っていてくれた。
 
 明里が手紙の中で教えてくれた桜の木の下で初めて唇を重ねた二人は翌朝、駅で別れた。
 そして、それ以来会うことは無かった・・・。文通は続けられるのだが、いつの間にか途絶えてしまった。

 貴樹は種子島に転校し、高校時代には同学年の澄田花苗に好意を抱かれ、それを知りつつ、はっきりと拒否することもせず、その状況を傍観者のように見ながら高校時代を過ごした。
 東京の大学に通うようになると、学内の生協でバイトを一緒にした同級生とも付き合う。
 さらに、塾のアシスタントのバイトをしている時にはやはりアシスタントの女子大生アルバイトと交際をする。その相手は塾講師と不倫をしていることを知りながら・・・。
 社会人となりソフトウェア会社に勤めるようになると、取引先に勤めるOL、水野理紗と交際をする。

 しかし、貴樹の中に常にあったのは明里だった。

 

 貴樹は中1の終り、最後に会った明里を胸に生き続けていた。
 勉強も部活も仕事もバイトもする。
 本来のやさしさも持ち合わせていた。
 ただ、そのやさしさは相手を知らず知らずに傷つけ、自らをも痛めつける。
 
 花苗の気持ちを知り、花苗が自分に告白しようとしている、それを飲み込んだ・・・。それらを感じながら明確な拒絶はしない。でも、心の中では絶対的な拒絶が潜んでいる。
 花苗が踏ん切りをつけ、今日しか告白する日はない・・・という日に花苗は貴樹のそれを感じ取ってしまった。花苗は告白するのをやめた。
 
 東京の大学に通うため種子島を離れる貴樹を花苗は見送りに行った。
 そして、好きだったことを告げた。
  5年間告白が出来なかった、花苗なりの決着のつけかただった。
 
 

 生協でアルバイトを一緒にした彼女も、塾のアシスタントをしていた彼女も、そして安息の場所を求めていたはずの水野理紗とも、結局別れを切り出したのは女性の方だった。

 
 3年間付き合った水野理紗からは
「1000回もメールをやりとりして、ただ心は1センチ位しか近づけませんでした」
 という最後のメールを受け取ることとなる。

 彼女らは自分に決着をつけて次のステージへと向かう。
 相変わらず、貴樹はそこから動けずにいた。


 その頃、明里は結婚を控えていた。
 高校時代にも交際をしていた相手がいたようだ。

 では、明里の貴樹に対する気持ちは貴樹の明里に対する気持ちより小さかったのか?

 そんなことはない。

 転校した栃木から、先に便りを寄こしたのは明里だった。
 
 貴樹が自分に会いに栃木まで来てくれることを本当に喜んだ。

 貴樹がやってくる当日、学校から帰り、母親にちょっと手伝ってもらいながら二人分のお弁当を作ったのは、すべて貴樹の為だった。

 約束の時間、岩舟の駅まで満面の笑みを浮かべながら駆けて行ったのは明里だった。

 岩舟の駅で降雪のための遅延を知りつつも、駅の待合室で貴樹がやってくることを信じたのも明里だ。

 貴樹に言いたいことを言えないかもしれないと、貴樹を待つ間、手紙を書いたのも明里だった。

 別れのホームで自分はこれからは一人でもやっていかなくちゃいけないと感じたのも明里だし、貴樹もそれが出来ると信じていたのも明里だった。

 貴樹からの手紙を待ちわびたのは明里だった。

 貴樹から手紙が来ないと寂しくなったのは明里だった。

 文通が途絶えても、ポストの前を歩くときに気になるのも明里だった。

 

 栃木と種子島に離れた貴樹と明里

 明確な交際をしてもいない中学生が遠距離恋愛をするのは困難な状況

 

 明里は貴樹を間違いなく好きだったし、婚約し、結婚しても決して貴樹のことを嫌いになってはいない。
 
 結婚直前に実家で見つけた「貴樹に渡せなかった手紙」を読んで改めて貴樹を思い出す。

 実家の押入れ深く、段ボールの中に小学校、中学校の懐かしいものたちの中にその手紙はあった。

 仮にそこに手紙が無かったとしても、何かの拍子に明里は思い出していただろう。

 大人になった明里は、あの日の貴樹の苦しみを容易に想像することができた。
 私を待たせているという罪悪感も、出来れば待合室で待っていないで帰ってくれていたらと願っていたことも。

 貴樹を好きだった当時の自分も含めて今の明里は形成されている。
 貴樹のことを切り離しては考えることはできない。
 明里は貴樹への思いとは決別などしていない。彼女の中に取り込んでいたし、その気持ちはいつでも取り出すこともできた。
 それは、結婚する相手への不徳なのではない。
 それがあるからこそ、明里の夫となる人物が愛した、明里であるはずだから。
 

 同じだけ時間を使ってきたが、そのスピード、距離に関して貴樹と明里は違っていた。
 だからこそ、貴樹が付き合った女性にすべてを見透かされてしまったのだろう。
 

 水野理紗と別れ、決定的な言葉を言われた貴樹は、丁度その頃、ソフトウェア会社を退職する。

 ひとりで設計・プログラムの仕事をしつつ、少しずつ彼は心に潤いが出てきた。
 
 小学校時代過ごしていた新宿の高層ビルが見える町で貴樹は散歩をしていた。
 そこで奇跡が起こる。

 
 懐かしい街並みを歩き、小学生の頃の自分たちを思い出しつつ、踏切に差し掛かった。
 警報が鳴り出した踏切ですれ違ったのは、もう15年位会っていない明里だと直感的に感づいた。

 遮断機が下りた踏切に立ち、貴樹は振り返る。
 すれ違った彼女も同じことをしているだろうと、確信していた。

 ゆっくりと振り返ると、貴樹と明里の眼は合った。

 小田急線が上下線と通過していく。

 貴樹は決心する。

 明里だったら、前に進もう。

 

 

 電車が通り過ぎた後、踏切の向こうには明里はいなかった。
 小学生の時「来年も一緒に桜、見れたらいいね」と言ったときのように、明里は遮断機が上がるのを待って、貴樹のもとへは駆け寄ってこなかった。 


 貴樹は振り返って、やさしい笑みを浮かべながら歩き出す。

 

 もし、明里が立っていたら?
 明里が結婚していなかったら?

 考えちゃいけないことなのかもしれません。
 
 でも、貴樹がその際に中学1年の終り、あの時の続きを・・・と考えていたら、すぐに破たんすることでしょう。
 もし、今現在の二人として新たに始めようと思っていたならうまくいったかもしれません。
 経験を自分の一部として成長出来る。それを受け入れられた者とそうではない者とで大きくかけ離れているはずです。

 ただ結局、明里はそこにいなかった。
 明里は歩き続けていた。

 明里は夫の都合で東京に戻ってきていたが、何かに導かれるように踏切に現れる奇跡を起こしたのかもしれません。
 そして、あの岩舟と同じように言葉で伝えたこと、さらに貴樹に渡さなかった手紙の文面と同じことを貴樹に伝えたのでしょう。

「貴樹くんは、この先も大丈夫だと思う。ぜったい!」
「貴樹くん、あなたはきっと大丈夫。どんなことがあっても、貴樹くんは絶対に立派で優しい大人になると思います。貴樹くんがこの先どんなに遠くに行ってしまっても、私はずっと絶対に好きです。
 どうかどうか、それを覚えていてください」

 それを通り過ぎる小田急線の向こう側からメッセージを送ったのでしょう。
 

 貴樹もこの日から、今までの歩調とは明らかに違うスピードで歩きだすことでしょう。
 花苗のことも、学生時代に付き合っていた彼女らのことも、水野理紗との3年間も、そして何より、明里のことも全て彼の一部となって、成長した貴樹となることでしょう。

 

 いつも言っていますが、占いは嫌いです。
 血液型で性格を決めたり(A型だけど、おいらが几帳面か??)、星座で決めつけられたり(蟹座が母性に富む??おいらが???)、などなどあまり占いに関わろうとしていません。
 占いと違いますが、男性と女性の行動心理に関して、よく本など出ていますよね。
 あれもどうかと思うのですが、この作品を見てなんとなく男って・・・、女って・・・・と思ったりします。
 占いと違って、あまりにも実例を目の当たりにしているからかもしれません。

 

 さあ、納得するくらいなら秒速5センチメートル位、歩き出してみようかな。

 この作品、本当に自分の抱えている部分をチクリとさせてくれます。

 

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秒速5センチメートルの時系列がちょっとおかしい!? 「前略、遠野貴樹様・・・・・・あなたはいつ桜を見たのでしょう?

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コメント 6

saki

観てから詳しく読みます。今日はかなり大雑把な斜め読み。
踏切の写真や、「種子島」、「転校」と言う身近に感じる言葉だけが印象に残りました。
種子島もロケがあったんですか?もしロケ地探訪される場合はご一報を。(笑)
by saki (2007-12-14 10:58) 

maeboo.

sakiさん、こんは゛んは

そうですよ。第二話「コスモナウト」は種子島が舞台です。

発射台も登場します。
参宮橋同様、新海監督たち御一行はロケハンされて忠実に再現されていますよ。

種子島ロケ地訪問ねぇ。
実は眠ったままの旅行券か゛六枚あるんです。
時間はないけど。
やっぱり先に岩舟かな。岩舟の特徴的なフォルムの岩舟山、ドラマ「ガリレオ」のロケにも使われましたね。(観ていませんが)ガリレオなロケハンスタッフに秒速5センチメートルファンがいたりして。

今晩は午前様確定です。
by maeboo. (2007-12-14 18:23) 

Uehara

自分と同じように思ってる人がいてほっとしました。
まず自分を変えて、そして何時かはきっと自分の運命を変えて見せます。
心で恋をし、心で自分を変え、心で本当の幸せを手にしたいですね。

僕もまず5センチ前へ歩き出します
by Uehara (2010-12-13 11:08) 

maeboo.

Ueharaさん、こんばんは
ようこそ、こんな支離滅裂なブログへお越しいただきました。

この記事を書いたのは丁度三年前の今日なんですね。

秒速に関して、現在71の記事をUPしていますが、このエントリは一番アクセスして頂いています。

5センチだけで風景って随分変わると思います。
最近はカメラに凝っていますが、ちょっと位置を変えるだけで今まで見えなかったものが見えてきます。


お時間があれば、またお立ち寄りください。
by maeboo. (2010-12-13 21:15) 

maeboo.

新海誠監督の『君の名は。』がすでに興行収入100億円を突破する大ヒットとなっています。その影響で当ブログにも秒速5センチメートルや言の葉の庭を検索し、たどり着いた方がまた増えた模様。

一応(笑)、ドラマ『僕の生きる道』をメインテーマに始めたブログですが、ほぼカメラ散歩ブログとなっている。

それでも僕の生きる道関連、特に特別編のOneDay関連の検索が多かった。

また、SMAP解散報道後も僕の生きる道関連の検索が多かったが、ここにきて秒速と言の葉関連へのアプローチが上回りました。

その中でも秒速関連のこの記事へのアクセルがなぜか一番多い。

2007年に書いた記事。まあ、ほぼ秒速を見てすぐに書き起こした記事だから、今となるとその視点も変わっています。
それは私のオッサン化の進度と影響しているのかもしれませんが。
秒速5センチメートルの中では速度が度々取り上げられている。

表題の秒速5センチメートルは桜の花びらが落ちるスピード(篠原明里の解釈)。アニメ版ではこの場面では桜の花びらの落ちるスピードしか登場しないが、小説版では明里は他のスピードも複数説明している。

また、第二話のコスモナウトではJAXAの種子島宇宙センターまでロケットの部品が搬送されるスピードが時速5kmだった。

このように速度が登場する。そして、新海作品で常にテーマとして扱われる要素が距離。

特に男女の距離感。

生きる『速度』が違う、貴樹と明里。先日テレビで放映された特番内でも、明里の方が積極的なことが多かった。

クラス内での冷やかされたとき、手を引いて教室を飛び出したのは貴樹だったが

桜の花びらが舞い落ちる坂道を駆けだし先行した明里。
小学校卒業後、先に手紙を出したのも明里。
岩舟駅で雪降る駅頭を先に歩く明里。

人それぞれ生きる『速度』は違う。

すぐそばにいる時は立ち止まったり、速度を緩めたり、蛇行したりして歩調を合わせることが出来た小学生。

離れてしまってその微調整が出来なくなった中学生。

本来、社会の中で全ての人が同じ速度や方向性を向いて生きている訳ではなく、それでも付き合っていくことができるのに、ねじれの位置関係にいて澄田花苗や大学時代に付き合った生協のバイトの女の子、学習塾のバイトの女の子、そしてサラリーマン時代の水野理紗。

水野理紗から別れを告げられた時、 1000回メールしても1cmも近づけなかったと言われる。ねじれの位置関係から離れることを見透かされていた。

秒速5センチメートルの第3話、踏切で貴樹は明里らしき女性とすれ違う。

渡り切り、遮断機が降り、電車が通過する。その後にその女性はいなかった。

それは篠原明里なのか?

前述のとおり貴樹と明里の生きる速度が違う。ただし、他の女性と違ってねじれの位置関係にはいない。

ならば、衛星軌道やトラックをイメージしてみる。

速度が違う二人でもいつか再び出会うタイミングがある。

だから、明里なのか?

あの映像は明里だと思うけど、貴樹が見た明里は幻影。
他の記事にも書いたけど、通過した電車に表示された行き先が本来の方向と逆になっている。貴樹の意識が時の逆行をしている表現では、と今では思っています。

by maeboo. (2016-09-24 06:20) 

maeboo.

地上波放映の影響か、明け方よりこの約10年前のエントリへのアクセスが増えています。
累積で約1万3千アクセスとこのブログでおそらくは最多訪問を受けているエントリなのですが、夜中に書いたラブレターのように後から読み返すと赤面してしまう内容。
あああ・・・
by maeboo. (2017-03-18 08:41) 

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